認知症Q&A

最近、物忘れが多くて心配です。これは認知症の前兆でしょうか?
一言で「物忘れ」といっても、いろいろな種類があり、物忘れが増える=認知症の前兆というわけではありません。身体機能と同じように、ヒトの認知機能は加齢に伴って自然に低下することが知られています。また、どんなに健康な人であっても、いわゆる「物忘れ」は生じます。例えば「一昨日の夕食」を、すんなりと思い出せる人は、むしろ少ないのではないでしょうか。このような「物忘れ」はごく自然の現象です。ここで大切なことは、「夕食の内容」よりもむしろ「夕食を食べたこと」を思い出せるかどうかです。認知症の物忘れでは、この「夕飯を食べた」という「出来事」自体を忘れてしまう特徴があり、一般的な加齢による物忘れとは区別されます。このような物忘れがあると、「大事な約束事を忘れてしまう」、「同じ物を何度も買ってしまう」など、生活面にも影響が生じますので、「日常生活での支障の有無」は、認知症かどうかを区別するうえで、重要なポイントとなります。
認知症が心配な場合は、いつ、どこに相談すればよいでしょうか?
認知症と区別をしなければならない病気はたくさんあり、その中には、治療可能な病気もたくさんあります。もし、気になることがあれば、なるべく早めに、かかりつけ医や、認知症専門医の「物忘れ外来」を受診することをお勧めします。もし、万が一、認知症と診断された場合であっても、早めに受診しておくほうが、適切な治療や将来に向けた対策を立てやすい、というメリットがあります。
どの病院を受診したらよいかわからない場合や、家族が受診を拒むような場合には「地域包括支援センター」や、市区町村の役場の高齢福祉課などが相談に応じてくれます(詳細は、本ページ下部のURLからダウンロードできる冊子をご参照いただければ幸いです)。
認知症は治るのでしょうか?薬を飲めば元通りになりますか?
早期の対応によって、一部の認知症は治癒が可能です。例えば、ビタミンの不足や、血糖の低下、さらには、一般的な胃薬の副作用によっても、認知症の症状が生じる場合があります。ただし、治癒可能な病気が原因であったとしても、長期にわたって認知症の症状が続いた場合には、回復が難しくなってしまう場合もあるため、早めの受診が大切になります。
これらの一部の治癒可能な認知症を除けば、現状では、認知症を完治させる薬や、進行を完全に止める薬はありません。ただし、症状を和らげる、あるいは症状の進行を遅くする薬はあります。したがって、早めに服薬を開始することで、健康に過ごせる時間が長くなる可能性があります。
認知症の予防は可能でしょうか?
結論から申し上げると、認知症の発症を確実に予防できる方法はありません。どんなに健康的な生活を送っていたとしても、脳卒中や心臓病などと同じく、病気のなりやすさには個人差がありますし、自然な加齢が発症に影響する場合も多く、完全に予防することはできません。逆に言えば、本人や家族の「努力不足」のせいで認知症になる、ということもありません。
ただし、脳(認知機能)の本来の健康な状態が保たれていると、認知症の進行が遅くなることや、日常生活に支障が生じるタイミングを遅らせることが期待できます。例えば、運動習慣を持つこと、他者との交流機会を増やすこと、楽しみながら行える脳トレを行うこと、血圧の管理を行うことで、認知機能の低下を抑えられたという研究報告もあります。大地震や豪雨などの自然災害と同じように、「防ぐ」よりも「備える」視点で、認知症に向き合うことが大切であると考えます。

当分野が執筆した冊子
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認知症を正しく理解するということは、認知症のある人と「共生」する社会の実現に向けた第一歩であると考えています。以下のリンクから、当分野にて作成した冊子「認知症を正しく理解しよう」がダウンロードできますので、ぜひ、ご一読をいただければ幸いです。

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